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矯正治療のやさしいお話〈7月号) 今日は学校の歯科検診の話をしましょう。 阪神間の小中学校は、昨年からだったでしょうか、不生咬合もルーテイーンにチエツクするようになりました。 ですから、学校から例年とは違う通知をもらわれて、戸惑ったり、あるいはショックを受けたお母様も多いのではないかと、お察し申し上げます。 専門医の立場から言わせて貰えれば、児童の八割以上が、何らかの不正咬合を有しているのが現実ですし、文献によりますと欧米や日本では、5、6割の人が専門医による治療が必要とされる程度の不正咬合を有しているとされていますので、別段、驚くことはありません。 要するに不正咬合は決して珍しいものでは無いということです。 では、どうすれば良いのでしょうか 日本では、矯正は保健の利かない治療ですので、必ずしも、私どもが治療を強制することはありません。 ただ、何もせず放置するのでは無く、専門医を、受診し、どういうところに問題があるかを、十分に説明をして貰うことが大事だと思います。 そして、問題点を理解して、治療を受けるも良し、その歯並びと仲良くお付き合いするも、また、一つの方法だと思います。
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矯正治療のやさしいお話〈8月号) 前回は不正咬合の問題点を理解して、悪い歯並びと上手に付き合うのも一つの方法だと述べましたが、もちろん全部が全部、放っておいても構わないという訳ではないのです。 例えば変な噛み癖から、あるいは、上の前歯が少し内向きに生えていて、受け口になっているような場合なら低学年のうちに矯正治療することをおすすめします。 というのは、この手の不正咬合は、この時期の治療なら簡単で、本人にも親にも大きな負担をかけなくても済むからです。 又、上顎が狭いために下顎が右か左のどちらかに誘導されているような場合も低学年からの治療を強くお進めします。 放置すると、成長と共に顔の歪みが大きくなってしまうからです。 下顎が小さくて出っ歯を呈しているような場合も早い時期の治療が有効です。 なぜなら治療によって下顎の骨の成長を促すことが出来ますし、放置すると成人になってから、手術を併用する矯正治療を行わないと、満足な結果が得られないことが、往々にしてあるからです。 いずれにしても、専門医に問題点を診て貰うことが大切だと思います。
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矯正治療のやさしいお話〈9月号) 以前に、不正咬合の問題点を理解していれば、悪い歯並びと、一生付き合うのも一つの方法だと述べました。 確かにそうですが、実はとても難しいことなのです。 例えば、がたがたの歯を例にとると、問題になるのは、見ための悪さと歯磨の難さの二点です。 『八重歯が私のチヤームポイントよ!』という時代錯誤な人は問題外ですが、「特に噛にくくもないし、見た目だけのことならこのままでもいいや!」という人が結構多いと思います。 それでも歯ブラシの難しさを毎日毎晩、実感していることでしょう。 少しずつ磨き残しが溜まるとどうなるでしょう。 虫歯は治療できますが、歯槽膿漏になってしまうと厄介です。 いったんダメージを受けた歯肉や歯を支えている骨は元通りには回復しません。 慌ててケアをしても、現状維持が精一杯です。 この磨き難しさのせいで、歯の寿命が縮まっているのです。 磨き難さを解消し、歯槽膿漏にかかりにくくして歯を長持ちさせるのも、矯正治療の大きな目的の一つなのです。
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矯正治療のやさしいお話し(10月号) 最近「近所の歯科で子供を診てもらったところ『矯正せんといかんで!』と言われたんです」と、相談にきた人がいました。 歯医者に面と向かって「矯正しなさい」などと言われると、親としてはそれ相応に深刻に受け止めてしまうのだと思います。 初診時の私どもでの対応を紹介しましょう。 初めに、簡単な問診を行って口の中や顔の状態を診せてもらい、どんな問題点があるかを指摘して、使用するであろう器具、期間や料金について、おおまかな話をします。 そして、治療することによって得られるメリット、デメリットを出来るだけ客観的な観点から説明します。 「おおまかな」と、いうのは、この時点ではレントゲンや歯の型を採っていないので、視診だけで判断しているからですが、そのうえで、患者さんの方で矯正治療を受ける、受けないを検討してもらうようにしています。 決して治療を強制したりすることはありません。 なぜなら矯正治療は矯正歯科医の技術やセンスだけでうまくいくものではありません。 患者さんの理解、信頼、そして協力が不可欠な要素であるからです。
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・期治療と・期治療(11月号) 今日は、私どもが通常行っている治療の基本的な考えかたを紹介しましょう。 例えば、出っ歯が気になる学童期の患者さんの場合、永久歯はまだ生えそろっていませんが、背が伸びる時期で、顎の骨の成長をコントロールできます。 私共では、この時期に上顎の成長を抑えたり、下顎の成長を促したり、上の前歯4本の配列を行います。 この時点での治療を第・期治療と呼びます。 単純な装置を用いて治すことが多いのですが、骨格的な不正を是正する大事なものです。 第・期が終了して、例えばガタガタや前歯の前突感があったりすると、第・期に入ります。 歯の表面にブレースを付けて個々の歯をコントロールする治療で、年齢も関係なくなります。 もちろん、第・期治療で問題がなくなれば、それ以後の治療は不要ですので、本人も親の負担も軽くてすみます。 一方、患者さんによっては、第・期治療が不要で、あるいは時期を逸しているために、いきなり第・期からの治療を開始する場合もよくあります。 そのあたりの判断は専門医に任せるとよいでしょう。
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(12月号) 矯正治療に関して良く耳にするのは「高い!」「痛い!」「目立つ!」「虫歯になる!」… 等ですが、我々矯正医にとって耳の痛い、あるいは根も葉もないこれらの噂について、コメントしたいと思います。 まず、料金のことですが、100万、200万かかるとか、私どもからすれば何ともうらやましい話を聞きますが、通常はこんな高額ではないと思います。 判断出来ないのは、矯正は原則として自費扱いですので、医院の考え方によって料金も当然まちまちになるからです。 例えば、前回も述べたように・期、・期と治療段階を分けることもありますし、こと細かに装置ごとに料金を徴収する医院もあると思います。 また、他院の方針や料金に関する情報が乏しいので、コメントのしようもないわけです。 一応、国立大学の歯学部の附属病院の矯正科での料金を問い合わせると、一つの目安になると思います。 ただ、大事なのは高い安いではなく、診療内容や各医院独自の付加価値に見合った料金であるかどうか、流行の言葉でいえばリーズナブルなものであるかどうか、よく見極めることが大事だと思います。
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98年(1月号) 矯正の目的については、以前に書きましたが、歯並びを良くすることで、コンプレックスから開放し、機能的な噛み合わせを作り、虫歯や歯槽膿漏に罹りにくくし口腔全体の健康を向上させるというものでした。 この目的を達成するには、何が必要でしょうか。患者さんの協力や、こちらが提供する矯正の的確な技術だけで十分でしょうか。いいえ、決してそうではありません。 実は、矯正治療の成否の鍵は「衛生士」と呼ばれる、お姉さんたちの働きにあると言っても過言ではありません。 例えば、力をかけて歯を移動させる場合に、歯の根の周りに歯石が付いたままですと、人為的に歯周病を助長させることになります。 矯正治療が終わって、歯並びは綺麗になったけれど、歯を支持すべき骨がだいぶ無くなったり、虫歯になったでは、お話になりません。 私が安心して歯を動かせるのは、実は「衛生士」が大掃除をしてくれたり、的確なブラッシングの指導をしてくれるからです。 彼女たちの仕事は多肢にわたりますが、彼女たちの力無くては、質のいい矯正治療は望めないでしょう。
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(2月号) 前回、「衛生士」が、歯の根の周りの歯石を取ったり、ブラッシング指導を行うという話をしました。 この作業はとても地味で、患者さんにとっては、いささか退屈なものだと思います。 早く装置を付けて、歯を動かして欲しいのに、と思われるかもしれませんが、これをしなければ、歯を支えている骨や歯茎へのダメージが大きく、歯を長持ちさせることはできません。 このあたりの意識を患者さんに持たせるのも、彼女たちの腕の見せ所なのです。 さて、衛生士の仕事は、他にもいろいろありますが、患者さんとコミュニケーションを取るというのも大事なものです。 月に一度とはいえ、2〜3年くらいかかることが多いので、患者さんの心をほぐしてあげて、気持ち良く来院してもらうことが必要です。 もちろん、私もお喋りはしますが、彼女たちにはかないません。 年頃の女の子ばかりでなく、高校生の男の子などが彼女たちに真剣に何か悩みを打ち明けたりしている光景など、微笑ましく思っています。 紙面の都合で、前回と今回にわたって、衛生士の重要性を述べましたが、次回は、昨年暮の続きの「矯正治療中の痛み」いついてお話したいと思いま。
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(3月号) 今日は、矯正治療に伴う痛みについてお話しましょう。随分前の話になりますが、作家の林真理子さんが、矯正治療をはじめて、痛くて食事がとれないので、ダイエットになるなどとおっしゃったような記憶があります。 どうしても、「矯正治療=痛い」という図式が先行しているようですが、果たして、そうなのでしょうか。 ここで、歯が動く仕組みをおさらいしておきましょう。 歯を動かすために、ごく弱い力をかけるのですが、そうすると、歯を支えている骨の中で、歯の根の周りにある歯根膜という組織が押し付けられたり、引っ張られたりします。 このときに、炎症が起きます。そうして、歯の根の周りの骨が改造されて、結果として歯が動くことになります。 この、初めの炎症が起きる過程で、痛みが生じるのです。 痛くて食事もとれない、気になって勉強が手につかない、あるいは、歯が浮いた感じはするけれど、それほど痛くはないという人といろいろで、痛みの感じ方も、かなり個人差があります。 それでの、通常2〜3日、しつこい人で一週間もすれば、痛みや違和感はなくなってしまいます。 そして、月一回の調節を重ねる毎に、組織の方も慣れてきて、しだいに痛みを感じなくなるのが普通です。
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(4月号) 前回の痛みに少し関係があるかも知れませんが、矯正治療を以前に受けた人の中で、あんなに痛くてつらいものはなかった、という趣旨のことをおっしゃる方がたまにいらっしゃいます。 確かに、悪い歯並びをいい状態にしようとするには、それなりの代償が必要で、歯の痛みや、装置をつけることによる不便さを、私自身、患者として経験しておりますが、馴れてしまえば何てことのないものでした。 ですから、とても辛かったとおっしゃる方は、とても不幸な時期を過ごされたのだなとご同情申し上げます。
そもそも、不正咬合を治療する事の一番の目的は、より良いかみ合わせを作ることで、口の中を健全な状態にし、ひいては、肉体・精神の健康を図るというものです。 ですから、前向きに治療に臨んで頂くというのが、理想なのですが、このように、痛い・辛いという印象しかないなら、治療を施す側にも問題があると思います。 矯正医が唯唯歯を並べることに夢中になって、患者さんの人格そのものを忘れてしまっては、お話になりません。そのような治療では、外見はなおっていても、決してうまくいったとは言い難いものだと思います。
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