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コラム

夜驚(やきょう)

「夜驚(やきょう)」この言葉を私が初めて聞いたのは、十年程前になります。

小学生の矯正の初診相談をしている時に、いびき、寝相、寝汗、おねしょなど、睡眠時の状態を尋ねたところ、その子の母親から「この子、夜驚があるんです」と告げられました。その時は夜驚という単語すら知らなくて、後で調べると、夜驚症とは、”睡眠中に突然大声で叫んだりする現象で、急に起き上がって走り出すこともある。強い恐怖や混乱を示す発作が起こる睡眠障害の一種”とありました。

現在の私の解釈としては、夜驚症は深い睡眠のステージで起こるもので、睡眠中に呼吸ができなくなって生じる現象と捉えています。無呼吸のために様々な不都合が生じ、そのため脳の一部が覚醒してパニックを起こしながら何とか口で呼吸をして、そして落ち着く。朝起きた時、本人はそのような騒動は全く覚えていないというのが通常で、家族からすれば、あんなに騒いでいたのに覚えていないなんて!、ということになります。

 さて、寝ている時に呼吸ができなくなると書きましたがどういうことかというと、人間は鼻呼吸するのが普通ですが、鼻詰まりや扁桃肥大があると鼻呼吸がしにくいので口呼吸をします。ただし、それは脳が指示できるからであり、ぐっすり眠っているとき、すなわち睡眠が深いときには人間本来の鼻呼吸しかできません。眠っている時は体が地面と水平になっていますから、日中のように血液が重力で下に降りていきにくく、また副交感神経が優位のためどうしても鼻粘膜がうっ血しやすいことも重なり、寝ている間に鼻詰まりを起こしやすくなります。そのため、深い睡眠の時に鼻呼吸ができなくなってパニックを起こすことになるのですね。

 そのような患者さんの特徴として、上顎に大なり小なり狭窄があるので、対処法としては上顎の正中口蓋縫合を離開させて、口蓋そのものを拡大しています。そうすれば鼻腔も少し拡げることができるので、睡眠中にも鼻呼吸が維持できて意外に早く良い結果が得られることが多いです。余談ですが、睡眠中に呼吸ができなくなると心臓に過度な負担がかかるのですが、負担を減らすために体全体の血液量を減らそうとします。そのため血中の水分を汗やおしっことして出しますので、夜驚につきものの大汗やおねしょなんかも呼吸を改善すると同時に改善するわけです。

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